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社員全員「創って、作って、売る」!「V字回復の経営」を生むには

今回は変革を目指す企業の経営層がどのように組織を動かしていくかに焦点を当てたビジネス小説「V字回復の経営」(著:三枝匡 出版:日本経済新聞社)を取り上げます。
三枝氏のビジネス小説4部作のうちの第3弾に当たります。
著者の三枝氏はスタンフォードGSB卒×ボストン・コンサルティング・グループ出身です。工業機械部品の企業ミスミグループを立て直した立役者として有名です。
自分と同じ部署にコンサル出身で三枝氏と一緒に仕事をした経験のある人がいるのですが、思考のキレと決断力はやはり他者と群を抜いて違ったようです。

自分はこの小説を読んで、他の小説にはないリアリティを感じました。
小説という体裁は取っているものの、随所に著者の経営コンサルタントとしての視点での示唆が見られ、ケーススタディとしてもリアリティあふれる内容で学ぶ点が多かったです。ネット上ではコマツ産業機械がモデルだと言われています。

因みにもう三枝匡さんご本人も明かしてるので良いと思いますが、「V字回復の経営」のモデルになった三枝匡さんがターンアラウンド(事業再生)のコンサルタントとして入っていたのはまさにこのKomtrax立ち上げ時期のコマツグループですよ。(@bishop_ring の Tweetより引用)

話としては、事業部長である黒岩の視点で描かれていることが多いです。
組織関係の力学、縄張り意識や責任の所在の無さといった停滞感のある大手日系企業にありがちな課題を持つ自社を、覚悟を持って改革していくといった筋です。

普通の小説にありがちなヒーローがその停滞感のある組織にハッパをかけて改革していくという話の展開ではありません。
まず黒岩は現場の話をじっくり聞き、どこにこの企業の課題の原因の根源があるのかを見極めるところから始めるのです。
そうです、この小説は三枝氏が自分がコンサルとして企業改革をした体験を基に書いています。
現実の企業を改革するに際して、どういう手順で何に気をつけて進めていけばいいのかということを事細かに記述してくれているのです。

この記事では、数ある企業を変革するためのポイントの中でも、経営層が社員全員の意識を統一させないといけない「商売の基本」に焦点を当てたいと思います。
■目次

1.社員全員が「創って、作って、売る」を意識できているか

組織を変革する上でインパクトが大きいと自分が感じたのは、社員全員が同じ目標に向かって行動できるような環境を作ることです。
そういう環境を作れないと、結局、組織の縄張り意識であったり、一個人の思惑の方が優先されたりと、組織としてとても非効率になりがちです。
逆にシンプルな目標はそれだけ社員が目標に対しコミットしやすいです。
そしてその目標が商売として理に適っていれば、それだけ企業の成功確率は高まります。
この小説で挙げられた目標は「社員全員が商売の基本サイクルを意識できている状態にする」ということです。
そして、商売の基本サイクルとは、「創って、作って、売る」すなわち「開発→生産→販売→顧客」のサイクルのことです(下図:本書参考)。f:id:HighCor:20180304201637j:plain

実際にミスミグループ本社では、商売の基本サイクルを自社の強みとして掲げています。
シンプルな理なのですが、顧客の要望に対して、競合よりも迅速に効率よく組織として応えられれば、自然とビジネスで勝てるはずです。
この理を実行するための組織戦略として、各々の機能の強みを発揮させる機能性組織があります。
うまく機能しないと、販売部(営業部)、生産部、開発部と組織が顧客から離れていき、
商売の基本サイクルへの意識は薄れ、このサイクルが遅れがちになるという弊害が生じることがあります
本書のケースでは、開発部・生産部・営業部のそれぞれがすべての製品を担当するため、ひとつの製品のサイクルが迅速に効率よく回せていませんでした。
5つの製品群に分けてビジネスユニットを作り、そのユニット内に開発・生産・営業部隊を置き、顧客の要望に迅速に対応できる体制を整え商売の基本サイクルをよく回せる状態を実現しました。 

2.顧客への価値提供という全体像を意識できているか

商売の基本サイクルを社員全員が意識していることの重要性ってなんだろう、ともう少し深く考えてみました。

社員全員が意識することで、スピード感を持って効率的に売上最大化に対するPDCAが回せることでしょうか。
それと同じことですが、さらに言い換えると、顧客への価値提供という全体像を意識して行動できることなのではないか、と思います。

「創って、作って、売る」という意識が無いと、「創る」「作る」「売る」がそれぞれバラバラに動きます。
その組織「ごと」に顧客に対する価値最大化を考え動き始めるのです。
顧客に対する価値最大化を考えるのならまだ良く、顧客と対峙しない組織は自組織へのメリット最大化に動くことすらありえます。
しかし、本当に重要なことは、自分の組織の世界だけで物事を見て顧客への価値提供を考えるのではなく組織の開発から販売、顧客への価値提供という全体像を意識して顧客への価値提供ができることであると思います。
しつこいですが、顧客が最終的に受け取った価値に着目したときに、全体最適になっているか考えるのです。

自分は企画職なので、「創る」に相当すると思います。
顧客からは最も遠い位置にいますが、もっともその意見を反映すべき立ち位置であることが今までの議論でわかりました。
従って、現場から顧客のニーズをいち早く教えてもらわないといけません。
自分が、その通り動けているだろうか?というのは自分への良い批判的視線になります。
以上2点自分がこの小説を読んで重要だと思った商売の基本サイクルに焦点を当てた論考になります。
皆さんの業界でも「創って、作って、売る」ができているかを確認してみると面白いかもしれません。
この小説はビジネスに大切なものを失ってしまっている企業に対し、それを取り戻すためのリアルに基づいた改革のノウハウがふんだんに詰まっています。
自分のまとめはそのほんの一部に過ぎません。
本当に参考になるのでこれから組織を改革する人には是非読んでもらいたいです。

合わせて読みたい

三枝氏の小説4部作の第2弾についても書いています。
「創って、作って、売る」を図示して、部下に戦略を伝えたりして、より実践的な内容になっています。

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